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『ばく』の隠遁生活

ひっそりと充実した生活を送りたい、のにドラマチックな人生を送ってます。読書好き。デザイナーの心の中いろいろ。

読書感想「八日目のセミ」(角田 光代)

読書

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photoby:HAMED MASOUMI

 

評価 

2009年、六年前の作品なのか。とびっくり。角田光代さんの作品を初めて読んだ。

主人公の視点で描かれているが非常に文章がわかりやすく、説明チックでもなく情景が目に浮かぶようだった。

まるで自分が分かれた男に子供を産めない体にされて、その子供をさらった女であるかのように感じられた。

そして偽りの娘への愛情も感じられた。ただ、個人的には主人公の女の考え方や世界のとらえ方が

あまり好きではなく私の価値観とは合わなかった。もっと男に復習してほしい(笑)(普段手に取らない作家なので)

ただ宗教の共同生活の部分など引き込まれる部分もあった。読み応えのある一冊だった。

角田さんらしい不思議な世界観が感じられると思う。(主人公の女性の語りのスタンスや行動など)

 

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仕事があるのに夜中の三時に角田光代の「八日目のセミ」を読み切ってしまいました。

一流企業につとめる静かな女希和子は不倫の末妊娠、だがその子どもを堕胎。

不倫相手は妻とよりを戻し新しい子供と暮らしていた。

そんな中、不倫相手の子供を希和子は誘拐し、3年半の逃亡をする。

・・・といった感じのお話。

 

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あらすじ

第0章

秋山丈博の愛人であった野々宮希和子は秋山宅に侵入していた。眠っていた赤ん坊(秋山恵理菜)を一目見るためだったが、赤ん坊が笑いかけたのを見て衝動的に誘拐する。

第1章

希和子は「薫」と名づけた赤ん坊とともに逃亡を始め、まず事情を知らない親友の手を借りた。その後、立ち退きを迫られている女の家での滞在や、偶然に遭遇した女性だけで共同生活を送る「エンジェルホーム」に所持金をすべて手放して入所。さらにエンジェルホームで出会った共同生活者の手助けを得て、小豆島に逃亡し、安心感を得た生活を送ったものの、1枚の写真がきっかけで希和子は逮捕された。

第2章

成人した恵理菜は、妻子持ちの岸田と付き合う中で希和子と同様に妊娠し、岸田は丈博同様頼りにならなかったが、「緑のきれいなころ」という言葉から、自分の判断を下した。また、恵理菜の前に、かつてエンジェルホームにいたという安藤千草が登場した。最後は瀬戸内海の場面と「仮の親子」の運命に関する描写である。

 

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このひとは大切なものを守りすがって生きていく。

主人公の印象だ。

私は主人公の女性のようなことがあれば絶対に反撃し復讐すると思う。それか、新しい幸せを見つける。

だからあまり好きではなかった。

母性、母と子、家族がテーマといった作品で、はっとする部分もいくつかあった。

 

たとえは子供を産めなくなった主人公が子供をさらってしまう心情などは非常によくわかる。

身内にも同じ状況が起こったが、いざ作ることができなくなると子供がほしい。

作りたいと逆に強く思うのだ。強烈に感じると本人も言っていた。

自分の身に置き換えても年が近くなるとその言葉の意味を理解できる。

デスパレートな妻たち」のガブリエル・ソリスしかり。

また三十に近くなって強く愛する人がいるとほしいと思う気持ちが起こる人も少なからずいるのではないだろうか。人間の体の仕組みがそうなっているなものなのか?

昔は子供のことなんて考えもしなかったのに。すごく不思議だ。

こういった内容もやはり年齢を重ねないとかけない。そして女性作家でしか描けないテーマで

とても面白い。この作家にとっては母性、家庭はこうなのかと。とても感じるものがある。

 

親もただの人間なのだとはっとする瞬間、誰にでもある。

自分を心から愛していた人の行動、言葉、言動を忘れて恨んだこと、誰にでもある。

あなたにとっての家族は誰だろう。本当の意味での人のつながりって家族なのかな。

自分で作るコミュニティなのかな。

あなたが選び取って手に入れた関係性なのかな。

いろいろがんが得るだろう。

生まれた家族の中で過ごす人。宗教の中で生きる人。選んだ異性と生きる人。

家族って難しい。

 

さて、この小説でもオウム事件をなぞらえたような団体が出てきた。

森絵都の「この女」でもサリン事件について描写されていたが、編集者や出版社の

方針として何かあったのだろうか。非常に気になる。

書いてもいい時期が来たのか、そうした事件が作家に何かを考えさせるきっかけになったのか。

個人的には、作家の書くものを変えさせたい編集者がそうした社会情勢も組み込んでみては

といったような気もするが。

久しぶりに小説を読んだが、なかなか面白かった。

また、単行本の装丁が素晴らしい。装丁が気に入り普段手に取らない作家の本を

今回読むことにしたのだ。

坂川栄治さんが手がけたそう。ブログで装丁について語っている。

「八日目の蝉」 | AGEEIJI : EIJI SAKAGAWA GRAPHIC DESIGN OFFICE

 

八日目の蝉

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