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『ばく』の隠遁生活

ひっそりと充実した生活を送りたい、のにドラマチックな人生を送ってます。読書好き。デザイナーの心の中いろいろ。

読書感想「この女」(森絵都)

 

 

この女 (文春文庫)

この女 (文春文庫)

 

評価 

話の構成や落ちがしっかりしており、きちんと組み立てて作られていて作家の技量が感じられる。文体も文句無く読みやすい。ただこのテーマならもっと毒や強烈なエロスや変態描写があっても良かった。テーマの選定といい社会情勢を盛り込んだりと作家の成長が感じられる一冊。

 

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森絵都「この女」年末に読みました。

主人公をひきつける、魔性の女「結子」。その「結子」の小説を書くために

主人公が振り回される中でわかっていく真実・・・といった感じのお話。

 

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内容
甲坂礼司、釜ヶ崎で働く青年。二谷結子を主人公に小説を書いてくれと頼まれる。二谷結子、二谷啓太の妻。神戸・三宮のホテルに一人で住み、つかみ所がない 女。二谷啓太、チープ・ルネッサンスを標榜するホテルチェーンのオーナー。小説の依頼主。大輔、甲坂礼司に小説書きのバイト話を持ってきた大学生。礼司に 神戸の住まいを提供。松ちゃん、釜ヶ崎の名物男。礼司が頼りにし、なにかと相談するおっちゃん。敦、二谷結子の弟。興信所経営。結子のためなら何でもする 直情型の気のいい男。震災前夜、神戸と大阪を舞台に繰り広げられる冒険恋愛小説。3年ぶり、著者の新境地を開く渾身の長篇書き下ろし。
 
森/絵都
1968年生まれ。1990年、『リズム』で講談社児童文学新人賞を受賞しデビュー。同作品で翌年、椋鳩十児童文学賞も受賞した。その後、児童文学はじめ 多数作品を発表し、98年『つきのふね』で野間児童文芸賞、99年『カラフル』で産経児童出版文化賞。同作品はのちに映画化された。そして、2003年 『風に舞いあがるビニールシート』で第一三五回直木賞を受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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森さんがこういう、ドヤ街についてや、お水系やセックス描写のある

お話を書くのかぁとびっくりしました。

私自身十代のころに森さんのデビューしたころの作品を読んでいますが

作家は成長するものなのだなぁと(上からですみません)

思いました。成長というか年齢とともに描くテーマが深くなっていったり。

性や愛についてもやっぱり書くことが変わってくる。

これは作家の長野まゆみ村上由佳さん同様ですが。

 

ダブル・ファンタジー〈上〉 (文春文庫)

ダブル・ファンタジー〈上〉 (文春文庫)

 
星々の舟 Voyage Through Stars (文春文庫)

星々の舟 Voyage Through Stars (文春文庫)

 

 

初期に書いていたテーマとは異なるモチーフがたびたび出てくるようになります。

作家の人生は作品に反映されるので当然といえば当然なのかもしれません。

 

私も同様に年をとったので、なんとなくその気持ちがわかる今日このごろ。

 

面白かったけど、もう少しこういう世界観ならばえぐぐてもいいのかも笑

 

この作家さんは綺麗な世界観や心のうちを描いたほうが向いているかもしれませんが、ストーリーテラーとしてはきちんと書ききっていると思いました。

ただ、もっと主人公が病んでいたほうが、面白かったような気もします。

 

こういう、女性の性についての描写は村上由佳さんのほうが、なんとなく退廃的で

もっと正直に話していて面白いかな。ダブルファンタジーはかなりぶっちゃけて

自分の性欲について話していて面白かったです。

普段女性が語らないことがたくさん書いてあるし。

自分は村上さんの考え方とかなり似ているタイプなのだと思いました。

村上さんが「この女」を書いても、面白いなぁと思う今日この頃。

 

しかし、久しぶりに本が読みたくなるきっかけを作ってくれた一冊です。

夢中であっという間に読めますよ。