映画化!『チャイルド44』 (トム・ロブスミス)~ロシアの闇はとても深い~読書感想
photoby:freeparking
忙しくて書評がかけずにいますが
通勤時今月はかなり読了した本や映像がたまってます。まずは一番のおすすめを。
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チャイルド44 (トム・ロブスミス)
『一言レビュー』 サスペンスが嫌いな人も一読の価値あり。
猟奇ものというよりも「ザ・ウォーキングデッド」
系列のかなり濃厚なヒューマンドラマ。人間心理が見どころ。
ウクライナの猟奇的殺人者アンドレイ・チカチーロをモデルに、
1950年代のソビエト連邦を舞台にした国家保安庁職員の行動を描いている。
初めに同僚の少年の死体が全裸で列車にひかれ口に泥をつめこまれた不可解な状態で
発見された事をきっかけに次々と子供たちが消えてゆく。
二番目の少女は、雪の中に上半身を埋められ
口には泥を詰め込まれた状態で発見された・・・・
独裁政権下、このような異常な事態が起こること自体が
密告や疑いにつながるので自らの失脚を恐れて国家の職員の間では
なかったことにされていた。その間にも次々と子供たちが残殺されていく。
そんな時、ガチガチのエリート国家保安庁職員の主人公は、
初めはこの事件の隠ぺいにかかわっていた。
だが政治的地位の凋落をきっかけに、
偶然にも刑事としてこの事件にかかわることとなり、
自らの意志で真相を追及することになる。
この本は、2008年にトム・ロブスミス若干28歳の時に初出版した本。
作者はもともとテレビドラマの脚本家をしていたそうで。
確かに、キャラクターの人物造形がはっきりしていて、
振る舞いや性格も魅力的で引き込まれます。
国の言いなりだった主人公は、失った人間性をどう取り戻していくかも
かなり見所です。(猟奇もの、というよりもかなりのヒューマンドラマです)
もちろん、場面の移り変わりもメリハリがあってよい!
この本のテーマは
「恐怖」がテーマだと思う。殺人鬼の恐ろしさではなく、
長い期間、独裁政権などで密告や理不尽な権力下で何もかも奪われて
どう生きてゆくか。人を見捨てて家族の命を助けるという苦渋の選択をする
ものが多い中で、何を基準にどう行動してゆくか。
極限状況の中で人の取る行動、というと
「ザ・ウォーキングデッド」とかなり似た面白さがあります。
個人的にウォーキングデッドはドラマよりも
youtubeのNICK STRIFFER さんのプレイ動画が
字幕つきで映画のようにスムーズで見やすく、とても面白いです。
これの雰囲気にかなり似ています(飢えて人肉を食べるところなど。)
- 作者: トム・ロブスミス,Tom Rob Smith,田口俊樹
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西洋の拷問や魔女狩りの猟奇的な小説など読んだこともありますが
ロシアのほうのものは初めて。まさに恐ろしあって感じでした。
デザインを勉強しているとロシアアヴァンギャルドなど
ロシアには良い印象があったのですがこれを読むと、グラフィックを楽しむ時も
いろいろなことが頭の中を巡って複雑な気持ちになりますね。
寒い地域のこういう小説はかなり闇が深い・・・。
最近ネットで流れた、少女の死体を何百と掘り起こして
自宅でミイラにして同棲していた男性もロシア。
寒さの中でのこういうお話はまた違った恐怖感がありますね。
ブラックラグーンの、独裁政権下の狂った環境の中で、
人喰い虎にされてしまった「双子たち」を思い出しました。
引き込まれてあっという間に読了。
人間は飢えたとき、追い込まれたとき
人をだましたり殺したりなぶったりするのか、それとも人のために懸命に行動し
人を助け力を合わせるのか。
人間という生き物のの難解さと不可解さを感じる一冊。
一読の価値ありです。
<6/1~6/28 通勤で読み終わった本(徐々に書評をかきます) >
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